【お知らせ】『論点体系独占禁止法』(第一法規) & 『実務に効く公正取引審決判例精選』(有斐閣)
私も共同執筆した、
白石忠志・多田敏明編著『論点体系独占禁止法』(第一法規・5400円+税)
が発刊され、手元に献本が届きました。
自分はさておき、執筆者の方々はいずれも独禁法に精通した実務家や研究者の方々であり、私などは、「この人はこの論点についてどう考えているのだろう?」という興味だけからでも、読みたくなりそうな本です。
この『論点体系』シリーズは、条文ごとに、関係する論点を解説するというスタイルなので、条文の文言について重箱の隅をつつくようなコンメンタールでもなく(そのようなコンメンタールも貴重で、ぜひ出て欲しいものですが)、独禁法を体系的に解説するという基本書でもない、独自の価値があると思います。
どちらかというと、逐条スタイルなのでコンメンタールに近いですが、コンメンタールは一般的にかなりプロ向けなので、その意味では本書は一般にはより受け入れられやすいのではないでしょうか。
700頁を超えるかなりの大著ですが、一般論や抽象論にページ数を取られることも、学説の対立をつらつらと述べる必要もなく、実務的に頻出する論点に絞って掘り下げて論述することができるので、実質的な意味での役に立つ情報量は相当なものではないかと思います。
それから、本書の特長として、審判制度廃止に関する平成25年改正と改正前の手続の両方を解説していることが挙げられます。
改正法が出たタイミングが結果的にたまたま良かったわけですが、しばらくは、改正法に関する唯一の逐条解説となるのではないでしょうか。
ぜひ書店で実物をご覧いただければと思います。
【7月22日追記】
立て続けに何ですが、私も執筆に参加した、
泉水文雄・長澤哲也編『実務に効く公正取引審決判例精選』(有斐閣・2667円+税)
が手元に届きました。
こちらの方は、再販売価格拘束について執筆させていただきました。
再販売価格拘束は、学問的にはともかく実務的には当然違法に近い原則違法ということでほぼ決着がついています。
なので、再販の質問を受ければとりあえず「違法の可能性が高いです。」と答えておけば、弁護士のアドバイスとしては間違いにはならない、という意味では悩みの少ない、議論しつくされた論点であるように見えるかもしれません。
しかし、実際にはそんなことはなく、悩ましい問題が再販については日々発生しています。
そこで今回の執筆では、『実務に効く』シリーズということもありますし、学問的な関心事はひとまず脇に置いて、企業の方や弁護士の方が実務で知りたいと思われる点を、かなり突っ込んで書いたつもりです。
再販売価格拘束の問題でお悩みの方には、一度読んでいただけるとありがたいです。
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