事業譲受の届出の「譲受け後の総資産」の不思議
富士通がニフティを売却するみたいですね。ココログは、大丈夫でしょうか。。。
さて、事業譲受けの届出書の記載事項に、「譲受け後の総資産」というのがあります。
つまり、事業譲渡を受けた後の譲受会社の総資産を書く、ということです。
例えば、譲受会社の総資産が100億円、譲渡対象資産が10億円だとすると、110億円、ということになりそうです。
しかし、よく考えてみると、この記載事項は、今一つ意味が分かりません。
というのは、記載要領によると、この部分は、
「事業の全部の譲受け又は事業上の固定資産の全部の譲受けの場合は,譲受会社及び譲渡会社の確定した最終の貸借対照表による総資産の金額をそれぞれ合計した額を,
事業の重要部分の譲受け又は事業上の固定資産の重要部分の譲受けの場合は,譲受前の譲受会社の総資産に当該部分の総資産の金額を合計した額を記載してください。」
となっているので、よくある後段の場合を例に前記の数字をあてはめて考えると、
譲受前の譲受会社の総資産 = 100億円
当該部分の総資産 = 10億円
で、確かに、110億円になります。
しかし言葉の本来の意味としては、「譲受け後の総資産」というのは、「譲受け後」の譲受会社の総資産のことを指すと言わざるを得ず、この項目は看板と中身が違っているようにみえます。
つまり、事業譲渡には当然お金が出ていくので、10億円の資産を15億円で買えば、譲受け後の譲受会社の資産は、
譲受前からの資産+譲受資産-譲渡対価
=100億円+10億円-15億円
=95億円
というのが、「譲受け後の総資産」の言葉の正しい意味だと思います。
競争へのインパクトのイメージをつかむためなら譲受前の譲受会社の資産と、譲渡対象資産の価値をそれぞれ書けば足りるのであって、よく意味の分からない足し算をする必要はないのではないでしょうか。
現在の届出書の記載事項は競争の評価とあまり関係ない事項が多いので改訂すべきですが、ついでのこの部分の記載も見直したらいいと思います。
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