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2014年3月 6日 (木)

ライセンシーの販売地域の制限

知財ガイドラインのライセンシーによる販売地域制限をまとめておきます。

同ガイドライン第4-4(2)ア(「販売に係る制限」)の第一文では、

「ライセンス技術を用いた製品を販売できる地域・・・を制限する行為については、基本的に前記3の柱書及び同(2)の考え方が当てはまる。」

とされています。

そして「前記3の柱書」とうのは、

「ある技術に権利を有する者が、他の事業者に対して、全面的な利用ではなく、当該技術を利用する範囲を限定してライセンスをする行為は、・・・外形上、権利の行使とみられるが、実質的に権利の行使と評価できない場合がある。

したがって、これらの行為については、・・・権利の行使と認められるか否かについて検討し、権利の行使と認められない場合には、不公正な取引方法の観点から問題となる。」

といっていて、

同(2)」(「製造に係る制限」)では、

「ア 製造できる地域の制限

ライセンサーがライセンシーに対し、当該技術を利用して製造を行うことができる地域を限定する行為は、・・・原則として不公正な取引方法に該当しない。」

とされています。

(ちなみに、販売地域制限とは関係ありませんが、「同(2)」続けて、

「イ 製造数量の制限又は製造における技術の使用回数の制限

ライセンサーがライセンシーに対し、当該技術を利用して製造する製品の最低製造数量又は技術の最低使用回数を制限することは、他の技術の利用を排除することにならない限り、原則として不公正な取引方法に該当しない。

他方、製造数量又は使用回数の上限を定めることは、市場全体の供給量を制限する効果がある場合には権利の行使とは認められず、公正競争阻害性を有する場合には、不公正な取引方法に該当する(一般指定第12項)。」

とされています。)

したがって、要するに、上記第4-4(2)アの第一文は、

「ライセンス技術を用いた製品を販売できる地域・・・を制限する行為については、

基本的に、≪権利の行使と認められるか否かについて検討し、権利の行使と認められない場合には、不公正な取引方法の観点から問題となる≫が、

原則として不公正な取引方法に該当しない。」、

ということであり、もっと短く言うと、

「ライセンス技術を用いた製品を販売できる地域を制限する行為については、原則として不公正な取引方法に該当しない。」

といっていることになります。

しかしさらに続けて、同ガイドライン第4-4(2)ア(「販売に係る制限」)の第二文では、

「しかし、

①当該権利が国内において消尽していると認められる場合

又は

②ノウハウのライセンスの場合であって、

公正競争阻害性を有するときは、

不公正な取引方法に該当する(一般指定第12項)。」

といっているので、結局一言でいえば、

「ライセンス技術を用いた製品を販売できる地域を制限する行為は原則として白条項であるが、例外的に、

①当該権利が国内において消尽していると認められる場合

又は

②ノウハウのライセンスの場合

には、灰条項である(ケースバイケースで判断する)。」

という意味になります。

もっと扱いやすく書き下すと、

「特許ライセンスで製品販売地域を制限する行為は、原則として白条項であるが、例外的に、当該特許が国内において消尽している場合には灰条項であり、

ノウハウライセンスで製品販売地域を制限する行為は、常に灰条項である。」

ということになります。

どうしてノウハウライセンスでの販売地域制限がいきなり灰条項になるのかは理解に苦しむところですが(ノウハウは消尽した特許と扱いが同じ?)、またの機会に考えてみたいと思います。

ちなみに、知財ガイドラインの前身である特許ノウハウガイドライン(第4-4(4)イ)の時代でも、

「ノウハウライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、地域を区分してライセンスをすることは、ライセンシーのノウハウの使用地域を限定する内容のものであれば、原則として不公正な取引方法に該当しない。

ただし、ライセンサーがライセンシーのノウハウ製品の販売地域を制限することについては、基本的に流通・取引慣行ガイドライン第2部-第二-3「流通業者の販売地域に関する制限」に示された考え方により、その市場における競争秩序に及ぼす影響に即して、個別に公正競争阻害性が判断される。」

ということで、販売地域の制限は灰条項になっていた(使用地域の制限は白条項)のに対し、特許ライセンスでの販売地域制限(第4-4(4)ア)は、

「特許ライセンス契約において、ライセンサーがライセンシーに対して、特許権が有効である我が国において地域を区分してライセンスをすることは、原則として不公正な取引方法に該当しない。

ただし、ライセンサーの特許が国内において消尽していると認められる場合において、ライセンサーがライセンシーに対して、特許製品の販売地域を制限させることについては、特許法等による権利の行使とみられる行為ではないと考えられ、基本的に流通・取引慣行ガイドライン第2部-第二-3「流通業者の販売地域に関する制限」に示された考え方により、その市場における競争秩序に及ぼす影響に即して、個別に公正競争阻害性が判断される。」

ということで、原則白条項、例外的に、消尽している場合は灰条項、というふうに整理されていたので、知財ガイドラインもこれを引き継いだものといえます。

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