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2013年6月21日 (金)

下請法3条の電磁的記録の提供を行うことができなかった場合と受領拒否

「下請取引における電磁的記録の提供に関する留意事項」の「4 電磁的記録の提供を行うことができなかったときの措置」には、

「親事業者が書面の交付に代えて電磁的記録の提供を行うに当たって,

電磁的記録を送信し又は下請事業者が閲覧した場合であっても,

下請事業者のファイルに記録されなかったときは,下請法第3 条に違反することとなるので,

親事業者において下請事業者のファイルに記録されたか否かを確認することが必要となる。」

と説明された後に続けて、

「また,書面の交付に代えて電磁的記録の提供を行うに当たって,

当該電磁的記録が下請事業者のファイルに記録されなかった場合において,

下請事業者が納期までに納品できないこと等を理由に,

受領を拒否したり,下請代金を減じることは,

下請法第4 条第1 項第1 号(受領拒否の禁止)及び第3 号(減額の禁止)に違反する。」

と説明されています。

しかし、これはおかいと思います。

まず、受領拒否を例に説明すると、3条書面を交付していなかったからといって、民法上の契約(合意)が成立していて、納期も合意されていれば、その納期が当事者を拘束するのは当然です。

(上記留意事項の説明は、基本的には電磁的記録の場合に関するものですが、書面の場合と区別する理屈はないでしょう。

むしろ、上記留意事項の説明は、電磁的記録が送信され又は閲覧可能な状態におかれたのに下請事業者のファイルに記録されなかったという、親事業者として何もしていなかったわけではないという意味でより罪の軽い場合ですら、受領拒否になるという点で、露骨な3条書面不交付の場合よりも親事業者に厳しいものになっているとすらいえます。)

また、下請法講習テキストでも、合意が3条書面に優先することを前提にした解説があります。

つまり、講習テキストp36では、受領拒否に関するQ&Aの中で、

「Q54: 下請事業者が、正式な発注に基づかず見込みで作成してしまった場合には、その受領を拒絶しても問題ないか。」

との設問に対して、

「A: 発注していないものについて受領を拒否することは問題ない。

ただし、3条書面を作成せず口頭発注にて下請事業者に一定数量を作成させている場合には、書面の交付義務違反にとどまらず、受領拒否にも該当する。」

と回答されています。

つまり、口頭発注も有効であって、かかる有効な発注であるにもかかわらず受領を拒否した場合には受領拒否になる、という、至極まっとうな説明がなされているのです。

この説明と、前述の「留意事項」の説明は、明らかに矛盾します。

なぜなら、「留意事項」の説明は、3条書面を交付しない限り(あるいは、3条書面に納期を記載しない限り)、納期の合意に下請事業者は縛られないことを前提としていると考えざるを得ないからです。

下請法の趣旨からすれば、理論的な整合性よりも、下請事業者の保護を優先する(いいとこどりをする)ことにも、ある程度の合理性は認められるべきなのかもしれませんが、上記「留意事項」の説明は、ちょっと行き過ぎではないでしょうか。

というのは、文字通り「留意事項」を読めば、

「当該電磁的記録が下請事業者のファイルに記録されなかった場合において」

という以上に何も限定を付けていないので、そのような場合であれば、納期に納入できない理由いかんにかかわらず、親事業者は受領拒否できない(しかも、下請事業者が親事業者のホームページを閲覧して納期を確認していたとしても!)ということになるからです。

下請法ももう少し、理論的な整合性を重視して解釈した方が良いと思います。

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