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2013年6月 6日 (木)

事業者団体が複数の事業者に取引拒絶をさせる場合の適用条文

事業者団体が、複数の事業者に対して、特定の取引先との取引をさせないようにすることは、独禁法8条5号に該当します。

つまり8条では、

「第8条 事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。

(1号~4号省略)

5 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること」

とされています。

では、「不公正な取引方法に該当する行為」とは、ここでは何条の行為なのでしょうか。

例えば、

①メーカーを構成員とする事業者団体Tが、

②小売店R1~R9に、

③特定のメーカーVとの取引を禁止した、

という場合はどうでしょう(遊戯銃事件のような場合ですね)。

この場合、複数の事業者R1~R9に取引を拒絶させているので、共同購入ボイコットの一般指定1項1号が思いつきます。

しかし、必ずしも1項1号は適用されないように思われます。

つまり、一般指定1項1号では、

1 正当な理由がないのに、自己と競争関係にある他の事業者(以下「競争者」という。)と共同して、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること。

一 ある事業者から商品若しくは役務の供給を受けることを拒絶し、又は供給を受ける商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限すること。」

とされています。

つまり、

①行為者(R1)が、

②自己の競争者である他の事業者(R2~R9)と共同して、

③ある事業者(V)から商品の供給を受けることを拒絶すること、

が、不公正な取引方法に該当するわけです。

つまり、②競争者との共同性(R1~R9の横のつながり)が、必要なのです。

ですので、もしTが、

①R1~R9を一堂に会させて、「Vと取引するなよ」と言ったり、

②R1に、「R2~R9と共同してVとの取引をやめるようにしろ」と言ったりすれば、

「競争者との共同性」の要件が満たされて、一般指定1項1号が成立しそうです。

これに対して、例えばTがR1~R9に個別に「Vとは取引するな」という手紙を出したような場合には、「競争者との共同性」の要件が満たされません。

なのでこの場合は、一般指定2項前段(単独の取引拒絶)が適用されます。

つまり一般指定2項前段では、

「〔R1、R2・・・またはR9が〕不当に、ある事業者〔V〕に対し取引を拒絶し若しくは取引に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限(すること)。」

が不当な取引制限に該当するとされています。

ですので、TがR1~R9に個別に手紙を出した場合には、8条5号の、

「事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること」

にあてはめると、

「R1にVとの取引拒絶をさせるようにすること」、

「R2にVとの取引拒絶をさせるようにすること」、

・・・・・

「R9にVとの取引拒絶をさせるようにすること」、

という、Tの9つの行為が併存している、ととらえるのが正しいと思われます。

まあ、どの条文を適用しても結論は変わらないですし、説明の問題にすぎないともいえますが、一応注意しておくべき点だと思います。

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