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2013年4月13日 (土)

ABA Spring Meeting 2013

今週は、ABAのAntitrust Spring Meeting に参加するためにワシントンDCに来ています。

参加したセッションの概要をメモしておきます。

【4月10日】

"Negotiating a Plea Agreement with DOJ"

・違反をした従業員を解雇しても会社の司法取引が有利になるわけではない。

・量刑上有利にはたらく「substantial cooperatoin」は、とても費用がかかる。

・2nd-Inという呼び方は誤解を招く表現で、例えば立ち入りの翌朝に3社が電話してくれば、3社とも2nd-Inとして有利に扱われる。

・カーブアウト予定者には会社とは別の弁護士をつけるよう求められる。

・スコット・ハモンドが面談に応じるのはまれ。(ちなみにこの点が翌日のGCRのウェブサイトでは、司法省が方針変更したというのでトップニュースになっていましたが、こんな「豆知識」をトップで扱うのもどうかと思います。)

・司法取引の交渉では情報は双方向であり、とくに司法省が手持ちの証拠と当事者の主張が異なる場合、司法省から一定の示唆(情報提供)がある。

・アムネスティ・プラスの特典はケースバイケースで、どれだけ大きな別件を持ち込んだか次第。罰金減額幅は5~10%のこともあれば、最大40~45%のこともある。

・先に報告された者の内容に従って司法省の心証ができてしまうので、その意味でも協力は早いほうがよい。

・当事者の申告により司法省が初めて知った部分はbase fineから除外される。

"Two-Sided Market"

このセッションでは、このテーマの第一人者であるDavid Evans氏の話が聞けて、ちょっと嬉しかったです。

・二面市場は、取引費用の削減がポイント("Open Table"のようなサイト)。

・限界費用より小さい価格(場合によっては負)で均衡する。

・需要の外部性がある。

・Π=(P1-C1)D1(P1,Q)+(P2-C2)D2(P2,Q

・Lerner Indexも、SSNIPも、critical loss analysisも通用しない。

・二面市場は市場力を固定化する可能性。

・DOJ: VISA事件、マイクロソフト事件、NASDAQ&ICE事件、MS-Yahoo事件、不動産仲介業者の事件。

・EUでは、問題は認識されているものの、従来の考え方の応用で解決されている。

・Bottin Cartography v. Google (オンラインマッピング。2012)、MasterCard-MIF(2012)。

【4月11日】

"Allocationg Merger Antitrust Risk"

・どの資産がvalue driverであるかの見極めが重要。

・クライアントが置かれている立場(文脈)が重要。しぶしぶ売るのか。ベアハグか、別の買主はいるのか。

・時間がかかると資産価値が劣化する。

・文書管理の重要性。(会議で使うノートパッドの冒頭に、「親愛なる陪審員のみなさまへ・・・」という定型文を入れるくらいのつもりで、陪審員の目に触れることを意識)。

・双方弁護士間の信頼関係が重要。しかし、馴れ合い(collude)はダメ。

・一番のポイントは、顧客が満足しているか。

・「priviledge」と冒頭に書いておくと秘匿特権の対象文書を見落とさずにすむ。

・reverse termination feeの問題。

・joint defense agreement

"Chair's Show Case"(独禁法への政治の影響)

このセッションは、元FTC委員長も含めて、独禁法への政治の影響を議論するという、なかなか渋いセッションでした。

"Hot Topics"

・FTC法5条についてはガイドラインが必要。

・DOJ:シクエスターの影響?

・Libor事件:volume of commerceが膨大、クラスアクション

・AUO(LCDカルテル):経済分析の利用

・Municipal Bondカルテル、自動車部品カルテル

・民事執行:電子書籍、クレジットカード

・FTCによるグーグルの調査

・最恵国待遇(MFN):もはやホットではない。

・私訴:ダウ・ケミカル事件、コムキャスト事件(損害否定)

・合併で、協調効果の活用:HerzとDollar Thrifty、アンハイザーブッシュとモデーロ

・グーグルのモトローラ買収:垂直合併の理論、インセンティブの変化

・Bosch v FTC

・シャーマン法2条:Shelf space discount

・リバースペイメント(EUではby object)

・EUの企業結合届出:簡略化された届出。選択的市場画定を認める?

・EU:JVの親会社の責任(Chloroprene rubber, Spanish Tobacco)

"RPM"

・"resale"か?(デジタル商品、imaginaryな商品、channel conflict)

・コルゲート理論

・ドクターマイルズ事件(委託理論、agency理論)

・州は、リージン後もRPMには否定的:成文法ベース。

・カナダでは2009年に非刑罰化。(従前も、実際には刑罰は課されなかった。)

・VISA/MasterCard事件:"resale"が無い?(ジェット燃料のようなもの。)

・広告上のRPM→実際のRPMの隠れ蓑?

・サムスン/ベストバイ:店舗内のキオスクはfirst salesか?

【4月12日】

"When Merge is Merger?"

・米国:少数株式の取得は、①買収者がターゲットへ及ぼす影響、②ターゲットのインセンティブ、③情報共有の観点から分析。

・米国では支配や直接の影響の有無は違反と無関係。ポイントはeffect。(Southern Belle)

・EUでは①買収者のインセンティブ、②ターゲットのインセンティブ、③情報共有の観点から分析。垂直合併でも問題。

・支配のための「decisive influence」は、可能性があれば足りる。

・フィリップモリス事件(1984年):101条

・ジレット事件(1992年):102条

・ドイツ:significant competitive influence。25%または50%の基準。

・英国:material influence(ドイツと同じ)

・ブラジル:influenceテスト(CNS-ウラジミナス)。届出は、①5%、②20%、③筆頭株主(知らぬ間に届け出が必要になる恐れ)。

"Enforcers' Round Table"

・司法省:電子書籍(和解後1冊11ドルから8ドルへ値下がり)、MFN

・カーブアウトの方針の変更:対象者は被疑者のみ。氏名は非開示。

・FTC:2つの最高裁判例(state action、reverse payment...11th Cir.を破棄するか?)ヘルスケアは引き続き注視。製薬では、ジェネリック製薬によるサンプルへのアクセス。標準化。

・消費者保護:子供のプライバシー、グーグル(クッキー)、データ保護ポリシー、last dollar fraud、モバイルのセキュリティ(スマートフォン)、データブローカー、債権回収業。

・EU:Liborなど金融分野のカルテル。注目分野は、テレコム、エネルギー。

・合併:UPSとTNT、Estrata、グーグル。

・ドイツ:リニエンシー、柔軟な和解。垂直制限を重点執行(小売の再販、デジタル商品、オンライン販売の制限、best price guarantyの問題、アマゾン、ホテル業)、企業結合の届出は簡単(5~10頁で済む)。

・米国の州:重点は、ヘルスケア(州は被害者でもある。基本的に地方の問題)。法律事務所への業務委託は、監督できていれば問題ない。

・不景気による予算削減の影響は?:DOJはあまりない。州は大いにあり。欧州委員会はあまりない(多額の制裁金を徴収しているので、予算獲得が容易→アルムニアさんの発言ですが、すごいことをいうもんです。)

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