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2013年1月 9日 (水)

下位事業者のシェアが不明の場合のHHIの計算

企業結合ガイドラインでセーフハーバーとして用いられているハーフィンダールハーシュマンインデックス(HHI)を計算しようとする場合、上位の企業のシェアは分かるものの、下位の企業のシェアが分からない、ということがよくあります。

この場合、HHIはどのように計算すればよいでしょうか。

結論から言えば、シェア不明の企業のシェアは、最大でも、シェアが判明している内で最下位の企業のシェアよりは小さいはずである、という前提で計算することになります。

例えば、A社(40%)、B社(20%)、C社(10%)のシェアは分かっているけれども、それ以下の企業のシェアが分からないとします。

この場合、4位以下の企業のシェアは、3位のC社よりも小さいはずですから、最大でも10%ということになります。

ですので、

1位:40%

2位:20%

3位:10%

4位:(10%)

5位:(10%)

6位:(10%)

という想定で計算することになり、結局、

HHI=40^2+20^2+(10^2)×4=2400

ということになります。

実際には、4位以下はこの想定のとおりである保証はないのですが、このような想定をした場合にHHIが一番大きくなるので(逆に、シェアが多数の企業に散らばっている方がHHIは小さくなる)、この方法によると、いわば保守的に(=大きめに)HHIが算出できるのです。

日本のガイドラインではHHIはセーフハーバーの意味しかありませんので、セーフハーバーに該当するかしないか(白か黒か)だけがはっきりすればいいので、保守的に(大きめに)算定したHHIでもセーフハーバーに該当するなら、それ以上に細かい数字を出す必要はないわけです。

なお企業結合ガイドラインでは、下位事業者のシェアが分からないときのHHIの算定方法として、

「HHI=最上位企業の市場シェア(%)の2乗×0.75+上位3社累積市場シェア(%)×24.5-466.3」

という算定式を使うことになっていますが、私自身、この式を使ったことはないですし、公取委から使うように求められたこともありません。

ちなみに上記説例(40%、20%、10%)の場合にガイドラインの算定式を使うと、

HHI=40^2×0.75+(40+20+10)×24.5-466.3=2448.7

と、まあまあ近い値になります。

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