液晶(LCD)パネルカルテル事件で司法省が罰金10億ドル求刑
昨日、公正取引協会さんの月例定例会で米国カルテル規制について講演をさせていただいたのですが、その時に触れた液晶パネルのカルテル事件について、びっくりするようなニュースが飛び込んできました。
無罪を争っていた台湾のAU Optronics Corporation(友達光電股份有限公司)に対して、今年3月に有罪判決が下されて量刑手続中なのですが、9月11日に、司法省が罰金10億ドルを勧告したということです。
アメリカのカルテルの罰金額の歴代トップはビタミンカルテルのホフマン・ラ・ロシュ社の5億ドルでしたので、もしこのままの罰金額を裁判所が認めると、今までの記録を大幅に塗り替えることになります。
司法省の量刑メモランダムをみると、一応、量刑ガイドラインのレンジ(9億3600万ドル~18億7200万ドル)には入っているようですが、それにしても、とてつもない金額です。
シェアトップであったLGですら4億ドルだったことや、司法取引に応じて捜査に協力した場合にはガイドラインのレンジを下回る額で和解が成立することも多いことを考えると、いかに厳しいかが分かります。
しかも、個人の被告2名についても禁固10年が求刑されています。こちらの方が衝撃かも知れませんね。
ちなみに、5名起訴されて3名は無罪になっています。天と地ほどの差ですね。
司法取引に応じると応じないとでこんなに量刑に差が出るとなると、カルテルで摘発された企業(と個人)は、怖くって争えないのではないでしょうか。
裁判所の判決に注目です。
【9月21日追記】
5億ドルの判決が出たようです。求刑の半額になりましたが、それでも多額ですね。
« 情報の一方的提供とカルテル | トップページ | 下請事業者の合意(同意)と下請法違反 »
「外国独禁法」カテゴリの記事
- 公正取引に米国反トラスト法コンプライアンスについて寄稿しました。(2024.04.21)
- ABA Antitrust Spring Meeting 2024 に行ってきました。(2024.04.15)
- ネオ・ブランダイス学派の問題点(2022.11.09)
- ABA Spring Meeting 2018(2018.04.14)
- トリンコ判決の位置づけ(2016.05.07)
コメント