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2011年9月15日 (木)

コンプライアンスプログラムと米国反トラスト法違反の減刑

米国には量刑ガイドラインというものがあり、米国ではカルテルは刑事事件ですから、当然、カルテルを行った場合の量刑についても、この量刑ガイドラインが適用されます。

(日本では、このような量刑のガイドラインが、少なくとも大っぴらに存在を明らかにされることはあり得ないでしょう。

理由はきっと、量刑は個別具体的な事情を考慮して定められるべきもので、一律のガイドラインには馴染まない、ということなのでしょう。

なので、こういうガイドラインが大っぴらにされること自体、お国柄の違いとして興味深いものがあります。)

さて、この量刑ガイドラインで、実効性のあるコンプライアンスプログラムを採用している会社の場合には、量刑上有利な事情として考慮される、とされています。

しかし、少なくとも独禁法の世界では、コンプライアンスプログラムの存在を理由に量刑が減刑されたことはありません。

American Bar Association(ABA)が出している、「Antitrust Law Development 6th ed」にも、

「The Division (司法省反トラスト局のこと) has never recommended a reduction based on an effective antitrust compliance program.」

と明記されています(p790)。

同様に、独占禁止法基本問題懇談会の「独占禁止法基本問題懇談会報告書」(平成19年6月26日)の資料集にも、

「量刑ガイドラインは、コンプライアンス・プログラムを減刑要因としているが、結果的に、独禁法の事件では、コンプライアンス・プログラムが量刑で考慮されにくい。司法省が訴追するときにも、コンプライアンス・プログラムの存在を減刑要素として考えることはない(1994 年10 月から2003 年9 月までの刑事事件件数は、955 件であるが、そのうち、効果的なコンプライアンス・プログラムを有していたとされたのは2 件にとどまり、反トラスト法違反に対する適用例はない。)。」

と記載されています。

もちろん、独禁法コンプライアンスプログラムを作ることには、独禁法リスクを減らすという大きな意味があると思います。

しかし、あたかも独禁法コンプライアンスプログラムを設けていれば減刑が受けられるかのような紹介の仕方をするのは、誤解を招くと思います。

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