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2011年8月19日 (金)

お友達紹介キャンペーンと景表法

よく、フィットネスクラブなどで、「お友達を紹介して頂いた方に1万円分のギフト券進呈」というような、お友達紹介キャンペーンがあります。

このようなギフト券の進呈は、景表法上問題ないのでしょうか。

この問題については、定義告示運用基準(「景品類等の指定の告示の運用基準」)の4(7)に、

「自己の供給する商品又は役務の購入者を紹介してくれた人に対する謝礼は、『取引に付随』する提供に当たらない(紹介者を当該商品又は役務の購入者に限定する場合を除く。)」

とされています。

なので、景表法の規制を受けない一番手っ取り早い方法は、紹介者を会員や会員となろうとする者に限定せず、オープンにしてしまうことです。

諸般の事情でオープンにするのがはばかられる、ということであれば、括弧内の

「紹介者を当該商品又は役務の購入者に限定する場合」

に該当し、景品類であるということになります。

紹介してもらったら謝礼以上の利益がフィットネスクラブに発生することもあるので、紹介者を既存会員に限っただけで謝礼を「景品類」というのはいかがなものかと思いますが、景品規制にはこの手のよくわからないルールがたくさんあります。

実務上は、運用基準に書いてある以上、従うほかないのでしょう。

そして、謝礼は既存会員全員にもらえる(総付け)ではなく、紹介に成功した人にだけ与えられるので、「懸賞」ということになるのでしょう。

(懸賞制限告示(「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」)の1項の一の「偶然性」(紹介に成功するかどうかは偶然だから?)か、二の「特定の行為の優劣」(紹介に成功したことが、紹介行為として優れている行為であると考える?)のでしょう。)

そうすると、

謝礼の最高額は取引価格の20倍(それが10万円を超えるときは10万円)

謝礼の総額は取引予定総額の2%

ということになります。(運用基準2項・3項)

ここで、フィットネスクラブのような継続的なサービスの場合には、「取引価格」とか「取引予定総額」をどう考えるのかは、なかなか難しい問題です。

まず、「取引価格」については、最も安いコースの料金ということでよいでしょう。(懸賞告示運用基準5(1)、総付告示運用基準1(2))

会費が月払いなので悩ましいですが、1か月間キャンペーンを実施するなら1か月分の会費を基準にすればよいでしょう(その20倍までは謝礼がOK)。

ただし、熱心に何人も紹介してくれる会員さんがいても、総額で10万円までと考えるべきでしょう。(分かりやすく、会費月5000円以上と考えておきます。)

というのは、謝礼はあくまでフィットネス役務に対する景品であって、紹介行為に対する対価ではないので、何人紹介しても、一人当たりの景品上限は10万円で固定されると考えるべきだからです。

(2つのコースに入ってくれた新規会員は、2つの役務を購入してくれたので、倍の20万円というのが理屈でしょうが、フィットネスクラブでそのようなことは起きないでしょうから無視します。)

次に「取引予定総額」については、キャンペーン期間中に見込まれる会費収入総額と考えればよいと思います。

理屈上分けて考えれば、

① キャンペーン目当てで入ってくる新入会員

② キャンペーンの有無にかかわらず入ってくる新入会員

③ キャンペーンがあるからこそ退会を思いとどまった既存会員

④ キャンペーンの有無にかかわらず継続する既存会員

に分けられるのでしょうけれど、「取引予定総額」を考えるときには、これらを区別する必要はないでしょう。

なので、1か月のキャンペーンで、その1か月の会費収入予定総額が1億円なら、謝礼の総額は200万円、ということになります。

やはり、実態は紹介という労力に対する対価なのに、法律上は新規または既存の会員に対する役務提供に対する景品という形式をとるので、かなり変な計算の仕方だとは思いますが、おおむね以上のような考え方に立っておけば、消費者庁からは文句は言われないと思います。

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