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2011年4月30日 (土)

IBA・KBA共催競争法カンファレンス

水曜日から金曜日まで、IBAとKBA(Korean Bar Association)の共催の競争法カンファレンスで、企業結合規制のパネルでセッションチェアーを務めるために、ソウルに行ってきました。

ソウルでのカンファレンスではありますが、やはり参加者も海外からのスピーカーの話に関心が強いようで、私も、とくにアメリカからのスピーカーのお話を興味深く聞きました。

この、元司法省の弁護士さんは、新水平合併ガイドラインは、裁判所が実務からかけはなれた旧ガイドラインに忠実な判断をしたために当局が敗訴するというケースが相次いだため、この流れを断ち切るためにできたものだ、と明言されていました。

また、ガイドライン改正前も、HHIなどの数値はガイドラインに書いてあるためにクライアントが求めるから計算したけれども、実務上は余り重視されていなかった、とのことでした。

また企業結合の当事者も、当局と折衝している間は、市場画定を絶対視しない当局の判断枠組みに従って主張を展開するけれど、裁判所に行ったとたんに、HHIとか市場画定とかがにわかに争点になる傾向があった、とのことでした。

私も、旧ガイドラインが当局の実務の実態からかけ離れていたという論評はよく目にしたことがあり、いくつかの国際会議でも同様の(とくに当局担当者による)指摘があったものの、今回、そのような実態がさらにはっきりと感じられたように思います。

現行の日本の企業結合ガイドラインに慣れ親しんでいる日本の独禁法実務家の目から見れば、このような指摘はかなり驚くべきものですが、どうやらそれが事実であるようです。

なお、例の「グッピー」(GUPPI, gross upward pricing pressure)についても言及があり、デフォルトで10%の効率性向上(要するにコスト削減)を認めることで実務的には落ち着きそうです。

ところで韓国の弁護士さんとお食事などをする機会があったのですが、日本の若者が海外に行きたがらないというNHKのニュースをとても興味深く話しておられました。

その弁護士さんによると、韓国はまったく逆で、韓国内にとどまっていたのでは世界の最先端から取り残されることが分かっているので若者がどんどん海外に出て行く、とのことでした。

それも、生活環境が悪い国にでも、経験を積むために積極的に志願していく、とのことでした。

また別の弁護士さんによると、韓国の公正取引委員会と欧州委員会は非常に良い関係を保っているとのことでした。

これは多分公知の事実で、私も仕事を通じて、欧州委員会がKFTC(Korean Fair Trade Commission)の見解を知りたがっているという場面には接したことがありますが(それだけKFTCが欧州委員会に重視されているということでしょう)、欧州委員会が日本の公取委の見解を知りたがっているという場面には、残念ながら、まだ接したことがありません。

でも、現状を嘆いても仕方ありません。

私も、日本の独禁法実務の一翼を担う者としての責任を感じ、日本の独禁法の国際的なプレゼンスの向上に少しでも貢献したいと思います。

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