« 【お知らせ】Chambers Asia Pacific 2011 | トップページ | 待機期間や措置期限が週末や休日の場合 »

2011年3月22日 (火)

株式取得の外為法上の届出

独禁法の届出と併せて訊かれることが多い外為法上の株式取得に関する届出について、外国会社が国内の会社の株式を取得する場合を念頭に、簡単にまとめておきます。

大雑把に言うと、多くの場合、日本の会社の株式を外国投資家が取得する場合には、取得後の持株比率が10%以上となる場合に、事後報告が必要です。

ではまず、非上場会社の株式から。

①国内の上場会社の株式を、

②「外国投資家」(=外国法人や外国居住者)が、

日本の投資家(「外国投資家」でない者)から取得する場合(つまり、外→外は含まない)、

「対内直接投資等」の定義に該当します(外為法26条2項1号)。

「対内直接投資等」に該当する場合、原則として、事後報告が必要です(外為法55条の5第1項)。

しかし、非上場会社の株式を取得する場合、発行済み株式総数に占める割合が特定関係者と合わせて10%未満の場合には、例外的に、報告不要とされています(対内直投政令3条1項3号)。

ですので、取得後の持分割合が10%以上の場合には、当該株式取得の日の翌月の15日まで(対内直投政令6条の3第1項)に、財務大臣および事業所管大臣に報告する必要がある(外為法55条の5第1項)、ということになります。

次に、上場会社の株式について。

①国内の上場会社の株式を、

②「外国投資家」が取得した結果(外国投資家からの取得(外→外)も含みます)、

③持株比率が、特別関係者の持っている分も含めて10%以上になる場合、

「対内直接投資等」に該当します(外為法26条2項3号)。

(「対内直接投資等」の定義上、取得後の持分割合が10%以上のものに限られている点が、非上場会社の場合(定義上は10%未満でも「対内直接投資等」に該当するが、報告対象から外されている)と異なるわけですね。)

そこで、非上場会社の株式の場合と同じく、翌月の15日までに届出が必要です(外為法55条の5第1項)。

いったん10%以上になったらその後は届出が要らなくなるわけではなく、10%以上になったあとは、1株取得でも届出が必要になります(この点、いったん20%を超えたら次は50%超まで届出が要らない独禁法の場合と異なります)。

さて、以上で多くの場合解決しますが、

①国の安全にかかわるもの(武器など)、または

②農作物など、OECDの資本移動自由化コード上、自由化が留保されている業種、

については、事前届出が必要です(外為法27条1項)。

また、外国投資家が、アメリカ合衆国、シンガポール、中華人民共和国(中国)など、多くのまともな国(対内直投命令別表1記載の国)であれば問題ないのですが、そうでない場合、業種にかかわらず事前届出が必要です。

細かいところは条文を確認して下さい。

なお以上は、非居住者が国内の株式会社の株式を譲り受けた場合を念頭に置いているので関係ないのですが、貿易の対価ではなく(株式譲渡なども含まれる)、居住者が非居住者に3000万円相当以上の支払をし、または非居住者から支払を受けた場合には、「支払又は支払の受領に関する報告書」の提出が必要になります(外為法55条1項、外為令18条の4,報告省令1条1項)。忘れがちなので気をつけて下さい。

« 【お知らせ】Chambers Asia Pacific 2011 | トップページ | 待機期間や措置期限が週末や休日の場合 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 株式取得の外為法上の届出:

« 【お知らせ】Chambers Asia Pacific 2011 | トップページ | 待機期間や措置期限が週末や休日の場合 »

フォト
無料ブログはココログ