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2011年3月 2日 (水)

優越的地位濫用と「行為の広がり」

優越的地位濫用には、「行為の広がり」論というものがあります。

優越的地位濫用が成立するための法律上の要件というよりは(「行為の広がり」などは条文のどこを探しても書いてありませんので)、公取委が重要な事件を取り上げるための基準であると考えるのが一般的ではないかと思います。

優越的地位の濫用というのは、余り安易に成立を認めてしまうと、私企業間の契約交渉で決まった内容を公取委が公権力でひっくり返すということが頻発してしまいます。

ですので、重要性のあるものだけを取り上げる、という絞りをかけることは意味のあることだと思います。

また、1対1の関係に過ぎない紛争というのは、市場における競争とは関係ないといえ、そういう意味でも、「行為の広がり」がある場合に限って公取委が取り上げるというのは妥当なことだと思います。

ところで優越的地位濫用ガイドラインでは、

「どのような場合に公正な競争を阻害するおそれがあると認められるのかについては,
問題となる不利益の程度,行為の広がり等を考慮して,個別の事案ごとに判断すること
になる。

例えば,①行為者が多数の取引の相手方に対して組織的に不利益を与える場合,

②特定の取引の相手方に対してしか不利益を与えていないときであっても,その不利益
の程度が強い,又はその行為を放置すれば他に波及するおそれがある場合

には,公正な競争を阻害するおそれがあると認められやすい。」

という記述があり、行為の広がり論を述べています。

ただ、パブコメ回答で、

「『その行為を放置すれば他に波及するおそれがある場合』とは、例えば、取引上優越した地位にある事業者の特定の支店で行われていた行為が、他の支店でも行われるようになる場合が考えられます。」

と回答しているのは、説明としてはちょっと疑問です。

私が「行為の広がり」としてイメージするのは、取引先1社に対して無理な値引きを強制したりする場合は「行為の広がり」が無い、という使い方です。

逆に、1つの支店だけで行われていようとも、会社の方針として一律に無理な事後値引きを要求するような場合は、「行為の広がり」がある、というイメージです。まさに①ですね。

1つの支店だけで行われていようが複数の支店で行われていようが、関係ありません。

上記公取委の回答では、

「他に波及するおそれ」

というのが、

「違反者の他の支店(より一般的には、他の指揮命令系統)に波及」

という意味だと解釈されてしまいます。

しかし、ガイドラインの文言を素直に読めば、

「他に波及するおそれ」

というのは、

「他の取引先に波及するおそれ」

という意味だと思います。

だいたい、他の支店であっても同じ法人なわけですから、同じ法人の1つの支店で行われた場合と複数の支店で行われた場合とで、別個の取扱いをするのは余り根拠がないのではないでしょうか。

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