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2010年12月17日 (金)

景表法の相談のポイント

景表法の相談を受けることは多いですが、いくつか気をつけていることをメモしておきます。

まず、商品役務の内容を詳しく聞くことです。

たまに、広告等のドラフトを送ってこられて、「これは景表法に反しますか」と聞かれることがありますが、商品役務の内容が分からなければ正確な回答はできません。

広告に明らかな嘘を書いているということは通常あまりないので、問題は、広告全体としてみて商品役務の内容を正しく伝えていないのではないか、ということであることが多いのです。

つまり、書いてあることは事実だけれど、その商品の短所を記載せずに、長所だけを強調する場合も、有利誤認表示になりうるのですが、その判断のためには、短所についても詳しく聞いて、書かなくても大丈夫かどうかを判断する必要があります。

たとえば、途中解約の場合には違約金がかかるのにそれを書かなくても大丈夫かどうかは、どのような場合に違約金がかかるのか、実際の取引においてそのような事態はどの程度生じるのか、ということも聞かないといけません。

権利行使に制限はあるのか、例えば週末は利用できないという制限はあるのか、といったことも、聞いてみなければ分かりません。言われれば当たり前のことですが、当たり前のことだけに、これを忘れると重大なミスにつながります。

途中解約したときの返戻金は月割りか、日割りか、なども聞きます。

その他手数料や隠れた負担が顧客に発生しないか、も詳しく聞きます。

それから、これらの注意書き(不利な点)は、顧客への訴求ポイント(有利な点)と同じ視野に入るように書いてもらうようにしています。

同じ紙に入りきらない場合には、矢印で視線を誘導するなりして、注意書きのところに目がいくようにします。

ですので、パンフレットの表に訴求ポイントを書いて、裏に注意書きを書くのも危ないです。別の紙にして一緒に渡すというのはもっと危ないです。

その他には、全体的な印象を重視します。

広告等の内容を細かく検討すればするほど、細かいところばかりに目が行くようになってしまうのですが、一般の消費者は弁護士がチェックするように細かく広告を読んだりしないので、じっくり読まないと分からないような注意書きは、分かりやすく書き直してもらいます。

それから、景表法の場合には、正式な措置命令にまでは至らなくても、注意や警告を受けることがあり、それはそれで企業にとってはダメージですから(しかも、措置命令と違って争う機会が法律上保証されていない)、注意や警告を受けるリスクもできるだけ低くするにはどうすべきか、という点に頭を絞ります。

例えば注意書きに下線を引くとか、枠で囲むとか、一目見て「読まなきゃいけない」ということが分かるように工夫をします。

また、景表法違反が生じるケースは、どうも社内のチェック体制が甘い(あるいは存在しない)場合であることが多いような印象を受けます。

広告等の内容をいちいち法務部がチェックしないケースの方が多いでしょうから、上記のような視点をもって、担当者の方がチェックして頂ければと思います。

それから、弁護士がチェックできる内容ではありませんが、世の中では、特定の食材を使っていると表示しながらそうでない(たとえば地鶏と表示しながらブロイラーだった)というケースがよくあります。

原因を聞くと、「発注担当者が勘違いした」という具合です。

どうしてそういうことが生じるのかを想像すると、結局、発注する人に広告の内容がきちんと伝わっていないのが原因だと思います。

「地鶏を発注するように」と発注担当者に指示するだけでは不充分で、

「広告に『○○産地鶏』と書くから、地鶏でないと景表法違反になるんだ」

ということまできちんと説明しないと、地鶏が品不足のときには、地鶏と食べて区別の付かないくらい上質なブロイラーでもいいじゃないかと思うのも当然です。

「国産」とか「中国産」とかいう表示もそうです。

そこまで徹底して初めて、景表法違反が防げるのではないかと思います。

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