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2010年11月20日 (土)

20%以下の株式取得の留意点

平成21年独占禁止法改正で、それまで10%、25%、50%を超えるたびに株式取得の報告が必要だったのが、20%と50%に簡略化されました。

しかし、これに伴って20%以下の株式取得が独禁法上問題がないと改正されたわけではありません。あくまで届け出が不要になっただけです。

独禁法10条1項では、

「会社は、他の会社の株式を取得し、又は所有することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該株式を取得し、又は所有してはなら(ない)」

と、はっきりと書いてあります。

例えば、ターゲットの会社が、株主が分散している上場会社であるような場合には、その19.9%もの株式を取得すれば、明らかに取得者とターゲットの意思決定の協調が強まるように思われます。

ですので、両者のシェア次第では、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる」ことは、十分にあり得ると思います。

届出について書いてあるのは10条2項のほうで、この届出要件と1項の違法要件とは、全く別のものです。

10%超の取得でいちいち届け出をさせるのは、改正前10%超取得の届出のほとんどがフリーパスであった実態に鑑みて煩雑であり、妥当な法改正だったと思いますが、だからといって20%までの取得がフリーパスでできるようになったわけではありません。

しかも、届出要件を満たさない、19.9%(20%ちょうどでもいいのですが)の株式取得の場合には、排除措置命令を出せる期間の制限(10条9項)がありませんので、そのような取得が行われていたことが後で公取委に分かると、排除措置命令を受ける可能性があります。

しかも、理屈の上ではそのような可能性が永久に残る、ということになります。

ですので、20%以下の株式取得の場合でも、問題ありそうな場合には(法律上の届け出は要らないわけですが)事前相談をすることをおすすめします。

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