微量でも入っていたら「○○入り」と表示しても景表法に反しないか
ある成分がほんの微量でも入っていたら、「○○入り△△」と表示しても景表法問題ないでしょうか。
たとえばカテキンをほんの少し入れたお茶を「カテキン入り健康茶」とか名付けるような場合です。
景表法4条1項1号では、
「商品・・・内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると・・・示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
をしてはいけないことになっています。
上のカテキンの例ですと、少しでもカテキンが入っているお茶なら、「実際のものよりも著しく優良である」と示すことにはならないように思います。
「実際のもの」はこの場合、「カテキンが入っていること」ですから、「カテキン入り」というのは事実そのものであり、「実際のものよりも著しく優良」という要件を満たさないと思われます。
それに、そもそも一般消費者は、単にカテキンが入っているというだけでは、「じゃ、何グラム入っているの?」と当然考えるわけで、ただ「カテキン入り」と書くだけで、何グラム入っているか書いていなかったら、「不当に顧客を誘引」することもないでしょう。
議論のための議論としてあえて反対説の立場を想像すれば、
「『カテキン入り』と書く以上、消費者はカテキンによる健康効果を期待して商品を購入するのであり、およそ効果の期待できない量しか入っていないのは消費者の期待を裏切るので有利誤認に当たる」
という説が考えられますが、そのような消費者は皆無とは言わないまでもまれでしょう。具体的な効果を期待する消費者は、含有量を気にするはずです。
そのほかには、
「この例での実際の商品は、『カテキンが微量入っていること』なのだから、『カテキン微量入り健康茶』と表示しないと虚偽の表示だ」
というのも考えられますが、日本語としては「入っている」の反対は「入っていない」なので、少しでも入っている限りは「○○入り」というのが正しく、「微量の○○入り」というのはまさに「入っている」のですから、この説は論理的におかしいです。
私も以前、「玉露入り緑茶」というのを見たことがありますが、全然誘引されませんでした。
かえって怪しげな感じがしたくらいです。
でも事業者、とくにブランド力のない事業者としては、「カテキン入り」と書くことで消費者の目を惹きたいんでしょうね。
そういう事業者の気持ちも分からないではありません。
たしかに、まったく聞いたことのないブランドのお茶が2種類並んでいて、片方に「カテキン入り」と書いてあったら、そっちを手に取ってしまう消費者のほうが多いかもしれません。
しかし、そういうのはカテキンの効果に期待して合理的に選択して買ったというよりは、最近よく聞く「カテキン」という何となく体に良さそうな名前が目にとまったのでつい手に取ってしまった、というレベルではないかと思います。
いわば、奇抜なデザインで目を引くポスターと同じレベルです。
あるいは、サブリミナル広告と同じレベルの問題で、景表法違反が問題となるような話ではないと思います。
でもたとえば、「今、脂肪の燃焼を助けると話題沸騰のカテキンが入っています」とか、何か効能を期待させるような表示をすれば、有利誤認となる余地は十分にあると思います。
このような表示をすれば、「その商品を飲めば脂肪の燃焼を助けてくれるのだろう」と消費者が受け取る可能性が大いにあり、まったく効果がないくらいに微量しか入っていない場合には表示から受け取る印象と大いに異なるからです。
あるいは、店頭での説明が「その商品を飲めば脂肪が燃える」とかいった誤解を招く説明になりがちで、そのような説明も「表示」になるので、注意が必要です。
このように、簡単に思えることでも案外、微妙なものです。
ですので、消費者庁に聞くときも、たんに「ちょっとしかカテキンが入っていなくても『カテキン入り健康茶』という名前をつけても大丈夫ですか」というように漠然と聞くのではなくて、いろいろな場合を想定して具体的に質問するようにしましょう。
なお以上はあくまで私個人の考えですので、消費者庁の見解を知りたい方は消費者庁に聞いてください。丁寧に教えてくれるはずです。
それから、食品の表示については食品衛生法など、ほかの法律も問題になりますから、それらについてもよく調べてください。
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