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2010年9月27日 (月)

親子会社の定義の誤植

企業結合届出規則(正式名:「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第九条から第十六条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則」)2条の9の親子会社の定義に誤植があるような気がするので、注意喚起しておきます。

届出規則2条の9(子会社及び親会社)の3項2号ロでは、40%以上の議決権を持つことと加えて、以下の要件を満たす場合に、親子会社関係が生じるとしています。

 他の会社等〔子会社に相当〕の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の総数に対する次に掲げる者(当該他の会社等の財務及び事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものに限る。)の数の割合が百分の五十を超えていること。

(1) 自己〔親会社に相当〕の役員

(2) 自己の業務を執行する役員

(3) 自己の使用人

(4) (1)から(3)までに掲げる者であつた者」

これに対して、届出規則2条の9が参考にしたと思われる会社法施行規則3条3項2号ロでは、

 他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の総数に対する次に掲げる者(当該他の会社等の財務及び事業の方針の決定に関して影響を与えることができるものに限る。)の数の割合が百分の五十を超えていること。

(1) 自己の役員

(2) 自己の業務を執行する社員

(3) 自己の使用人

(4) (1)から(3)までに掲げる者であった者」

とされています。

ちなみに、「社員」というのは世の中で言うところの従業員のことではなく(それは、(3)の「使用人」です)、法律上の社員のことで、具体的に「業務を執行する社員」とは、持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)の業務執行社員(会社法593条)のことです。

これは、企業結合届出規則のほうが誤植なのではないかと思います。

企業結合届出規則の「(2)自己の業務を執行する役員」というのは、その前の「(1)自己の役員」の概念に含まれるので、意味がないでしょう。

会社法施行規則のように、「社員」なら、業務執行権限のある社員はカウントされるんだな、と了解できます。

このように、届出規則は誤植と思われますが、正式な規則ですし、実務は規則の文言どおり運用して行かざるを得ません。

ですので、例えばP社の業務執行社員がS社の取締役会の過半数を占めていても、P社のS社に対する議決権比率が50%以下(50%を含む)である限り、P社はS社の親会社ではない、ということになります。

持分会社は、日本の事業会社ではあまりメジャーな存在ではないですが、外国では持分会社に相当する事業会社はいくらでもあります。

なので、もし外国会社から質問を受けたら、「規則上は届出は要らないことになっているけど、多分誤字なので、届け出ておいた方が良い」というアドバイスをすべきかもしれません。

「でも法的にはノーリスクなんでしょう?」と突っ込まれたら、「そうですね」としか答えようがありませんね・・・

親子関係が本来より狭くなることで実質的な問題が生じるのはグループ内再編です。

平成21年改正で、グループ内組織再編は届出不要となりました。

ところが、親子関係が本来より狭くしかみとめられないとすると、本来グループ内再編とされるべき再編がそうではないことになり、ひいては余分な届出が必要になる場合が出てくるかも知れません。

困ったものですね。。。

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