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2010年9月28日 (火)

【日経法務インサイド9月27日】「営業秘密 守りやすく」

昨日(9月27日)の日経朝刊の「法務インサイド」欄で、私のコメントを引用していただきました。

(昨日はなぜか朝刊が届くのが遅れ、自分が読む前に何人かの方にメールで教えて頂きました(汗)。教えて頂いた方、ありがとうございました。)

記事は今年7月に施行された改正不正競争防止法の要点がコンパクトにまとめられており分かりやすいので、ご興味のある方はご一読下さい。

一般の人には、そもそもなぜ営業秘密侵害罪の成立範囲を細かく定めているのか、少々わかりにくいのも事実ではないかと思います。

素朴な感情からすれば、不正競争の目的(A社の秘密を競合のB社が不正に入手して利用するような場合)であろうと、図利加害目的(A社の顧客名簿を名簿業者に売りつけるような場合)であろうと、悪いものは悪いのだから両方処罰すべき、ということでしょう(だからこそ今回の改正が成立したわけですが)。

ただ、営業秘密に関する罪を不正競争防止法の中に置いている関係上、同法は文字通り不正な競争を防止するための法律なので、改正前は、侵害の目的を不正競争の目的に限っていたわけです。

体系的な整理としては、改正前の方がすっきりしていたとも言えます。

しかし、やはりそれでは実務的に不都合だろうということで、今回の改正となったわけです。

図利加害目的というと、法律家としては、刑法の背任罪を思い浮かべます。

つまり、今回の改正で、営業秘密侵害罪の性質が、不正な競争の防止から、背任罪のような財産犯に性格が近づいたといえます。

(この際、営業秘密侵害罪は、外国公務員贈賄罪とともに、刑法に移してはどうかと思います。でもそうすると、管轄が経産省から法務省に移ってしまうという問題点(?)があるかもしれません。)

また、改正前は、営業秘密を使用・開示して初めて犯罪となったのが、それだと秘密裏になされた使用・開示することが立証できない場合があるので、取得の時点で犯罪となることとされました。

これも、実際上の必要に迫られての改正といえます。

営業秘密というのは目に見えないだけに、その対象についても、侵害行為の態様についても、法律の文言で綿密に規定されています。

法律に馴染みのない人からみると、処罰されるべきものが処罰されないというのは法律の欠陥ではないかという印象を持たれるかもしれません。

しかし、こと今回の改正については、改正前の法律も処罰範囲が広がりすぎないように意図的にそのような内容になっていて、やはり実務の運用でそれでは良くないということで、さらに綿密に文言を練って改正に至った、という印象です。

改正法の文言をじっくり読むと、実務における条文の大切さが改めて身に染みます。

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内部通報目的であれば、不正競争目的ではありませんからセーフになりますよね?

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