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2010年6月18日 (金)

違法目的の実効性確保手段としての不公正な取引方法に対する課徴金

独禁法上違法な行為の実効性確保手段として行われる行為は公正競争阻害性が認められて独禁法上違法となる、という議論がされることがあります。

例えば、商品Aのメーカーが、商品Aの再販売価格を維持するために、再販売価格の指示に従わない販売店に対してだけ、商品B(同メーカーが販売店を通じて販売している別の商品)の卸売価格を上げる、というような場合、商品Bについての差別対価について公正競争阻害性が認められる、というように言われます。

このような、違法目的の実効性確保手段であることをもって公正競争阻害性を認める考え方は、非常に筋が悪いと思うのですが(上記の例では、正々堂々と再販売価格維持のケースとして処理すべき)、平成21年独禁法改正で不公正な取引方法について課徴金が課されるようになったことから、この矛盾がより一層明らかになったといいますか、少なくとも実務上は以下のような運用になることが予想されるので注意しておく必要があると思います。

つまり、上記の例では、改正前は所詮排除措置命令しかなかったので、商品Bの差別対価として処理して排除措置命令により差別対価を止めさせれば、一応は目的が達成できたように思います(手段としての差別対価がなくなれば、他の実効性確保手段がない限り、目的としての再販売価格維持もなくなるので)。

しかし、改正後は、課徴金が課されます。

しかも、設例の場合、課徴金は、商品Bについての差別対価に対してだけでなく、商品Aについての再販売価格維持に対しても課せられることになると思われます(2回目の違反からですが)。

そうすると、実質的には1つの行為について2つの課徴金が課されることになり、なんとなく2重取りされているようで腑に落ちないものがあります。

ともあれ、改正後は、課徴金が絡んでくるので公取委としても手段行為(商品Bの差別対価)だけでお茶を濁すということができず、きちんと目的行為(商品Aの再販売価格維持)についても排除措置命令を出すことになるでしょうし、また、裁量の余地のない課徴金の趣旨からすれば、きちんと両方やらなければならないというべきでしょう。

しかも、目的行為(商品Aの再販売価格維持)のほうが課徴金がずっと大きくなる、ということも充分にありえます。

もっと手近なところでは、弁護士としては、こういう例の場合に、差別対価の課徴金のことだけアドバイスしたのでは片手落ち、ということです。気をつけましょう。

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