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2010年5月20日 (木)

企業結合集団の定義は必要充分か?

独禁法10条2項では、「企業結合集団」を、

会社及び当該会社の子会社並びに当該会社の親会社であつて他の会社の子会社でないもの及び当該親会社の子会社(当該会社及び当該会社の子会社を除く。)から成る集団」

と定義しています(基準になる会社をで塗ってみました)。

「子会社」、「親会社」の定義は細かいのでポイントだけいうと、

ポイント1:子会社は組合等も含む(10条6項参照)、

ポイント2:親会社は会社のみ(10条7項参照)、

ポイント3:孫会社以下も子会社(届出規則2条の9第3項参照。同様に、祖父会社以上も親会社)、

という点がポイントです。

さて、上記企業結合集団の定義を細かく見ると、

①「会社」、

②「当該会社の子会社」、

③「当該会社の親会社であつて他の会社の子会社でないもの」

④「当該親会社の子会社(当該会社及び当該会社の子会社を除く。)」

から成る集団、ということになります。

①の「会社」からみると、②が子会社、③が究極親会社、④が究極親会社の子会社(ただし、①と②に重複するものは除く)、となります。

さて、ここで①の「会社」とは、株式取得会社(より一般的には、企業結合の当事会社)のことを指しているのでしょうか。

わざわざ、①から、②で下へ、③で上へ、④で上からさらに下へ、という広げ方をする定義をしていることからすると、どうも①の「会社」は、株式取得会社を念頭に置いているような気もします。

なぜなら、もし①が株式取得会社を念頭に置かず、グループ内のどの会社でもいいなら、はじめから①の会社を究極親会社の場所に置いて、それ以下の会社(子会社)が企業結合集団であると定義する(つまり、①と②)だけで足りるはずだからです。

つまり、10条2項が株式取得の条文であることに引きずられて、株式取得をする法人を①にイメージして、その下と上と、1回上に上がって下、という作業をすることで、企業結合集団の定義をしているような気がするのです。

しかし、このように①のところに株式取得会社を置かなければならないという文言上の根拠はありません。

つまり、10条2項を冒頭から引用すると(①、②・・・は追加)、

会社であつて、その国内売上高・・・と当該会社が属する企業結合集団(①会社及び②当該会社の子会社並びに③当該会社の親会社であつて他の会社の子会社でないもの及び④当該親会社の子会社(当該会社及び当該会社の子会社を除く。)から成る集団をいう。以下同じ。)に属する当該会社以外の会社等・・・」

とされています。

しかし、①の会社株式取得会社でならなければならないという文言上の根拠はありません(上では、株式取得会社を指す文言をにしました)。

むしろ、もし①の会社が株式取得会社であるとすると、①の「会社」は、「当該会社」と書かなければおかしいはずです。

つまり、①の会社は、株式取得会社に限らず、株式取得会社と同じ企業結合集団に属するのであればどの会社でもいい(「会社」としかいっていないのだから)、と読むのが自然な文言解釈だと思います。

とすれば、最初から①の会社を究極親会社(ピラミッドのてっぺん)に置けば、企業結合集団は、①と②だけで充分定義できてしまうと思うのです。

具体的にいえば、企業結合集団は、

「他の会社の子会社でない会社及びその子会社から成る集団」

という定義で充分な気がするのです。

どうも10条2項の企業結合集団の定義は、企業結合集団の範囲を画定していくステップをそのまま文言に落としただけで、そのステップの結果出来上がった概念を整理するとどういうものになるかという整理が欠けているように思えます。

あるいは、基準になる①の会社を、単に「会社」といってしまったため、その「会社」がピラミッドのどこに位置しても(=集団のどこからスタートしても)同じ集団の範囲に辿り着くような定義にせざるをえなかった、とも言えます。

しかし、集団のどこからスタートしても企業結合集団の範囲は同一なので(このことは、親会社が2つ存在することはあり得ないという公取委の立場から導かれます。親会社が2つ以上あり得るなら、そのような2つの親会社を持つ会社からスタートすると2つの企業結合集団が画定され、他の会社からスタートするとその会社が属する集団1つだけが画定される、ということがあるかもしれません。ちょっと分かりにくいので絵を描いて考えてみて下さい)、集団内のどの会社からスタートしても同じ定義に辿り着くような定義にする必要はなかったはずです。

そうではなくて、最初から基準になる会社を究極親会社のところに置けば、究極親会社とその子会社、という、シンプルで分かりやすい定義ができるように思います。

いかがでしょうか?

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