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2010年4月27日 (火)

経済学的観点からみた事業者団体の役割

競争政策の観点からみた場合、事業者団体の役割とはどのようなものであるべきでしょうか。

経済学的にいえば、事業者団体の存在意義とは、以下のようなものでしょう。

すなわち、事業者が行う事業活動には様々なものがあります。

その中で、「ある活動を行えば売上が伸びると分かっていても、自社の行った活動の恩恵が同業他社にも及んでしまうため、自分ではやる気が起きない、あるいはやる気の程度が下がる、という活動」があります。

例えば、業界全体のイメージを上げるための広報活動などです。

難しい言葉で言えば、「正の外部性」がある活動、ともいえます。

人間誰しも、自分の払ったコストに対するベネフィットが100%享受できる場合に、もっともやる気が出るものです。

そうでなくて、自分の払ったコストに対するベネフィットの10%しか享受できない場合には、「みんなでやれば利益になるのに誰もやろうとしない」ということになりがちです。

そういう場合には、事業者団体の出番となるわけです。

その他にも事業者団体がやる活動として、「事業者が個別にやるとコストに見合わないので誰もやらないが、みんなでやるとコストが下がるのでやる気になる活動」というのもあるでしょう。

例えば、従業員に対する研修などが、これに当たるかも知れません。

いわば、コスト削減という意味での効率性の実現です。

以上のような、「正の外部性」のある活動や「効率性」を増す活動というのは、事業者団体でしかできない、競争上望ましい活動であるとして、独禁法上もポジティブな評価を受けて然るべきだと思います。

事業者団体については、「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(事業者団体ガイドライン)というものがあり、独禁法上問題となりうる行為が列挙されています。

http://www.jftc.go.jp/dk/jigyoshadantai.html

事業者団体の行為の独禁法上の問題を考える際には、同ガイドラインの、競争の阻害に繋がる行為か否か、という視点も重要ですが、上記のような、「正の外部性」、「効率性」という観点も持っていると、より事業者団体の活動を立体的に分析できると思います。

ところで、事業者団体ガイドラインには、別表がついており、情報交換など微妙な行為について、問題になりうる行為、ならない行為がリスト化されており、チェックリストとして使えて便利です。

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