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2010年2月 6日 (土)

株式取得と適時開示

平成21年独禁法改正で株式取得が事前届出化されたので、改正法下において株式取得に関して必要となりそうな適時開示のポイントをまとめておきます(なお、見やすさ・覚えやすさ重視で若干端折っております)。

適時開示は、取得する側(取得会社)と取得される側(発行会社)と譲渡する側(譲渡会社)の3者において問題となり得ます。

まず、取得会社側の開示について。

①資本提携を伴う業務提携

株式取得価格が取得会社の純資産額と資本金の額の大きい方の10%以上となるような資本提携を伴う業務提携契約を締結することを取締役会で決議した場合、直ちに開示が必要です。

②子会社の異動

(ⅰ)発行会社の資本金の額が取得会社の資本金の10%以上

(ⅱ)発行会社と取得会社の仕入または売上取引高が取得会社の総仕入または総売上高の10%以上

(ⅲ)発行会社の総資産額が取得会社の総資産額のの30%以上

(ⅳ)発行会社の売上高が取得会社の売上高の10%以上

(ⅴ)発行会社の経常利益または当期純利益が取得会社の経常利益または純利益の30%以上(取得会社の経常利益または当期純利益が10億円以上の場合)

(ⅵ)発行会社の経常利益または当期純利益が取得会社の直近5期の経常利益または当期純利益の平均(赤字はゼロ)の30%以上(取得会社の経常利益または当期純利益が10億円未満の場合)

③公開買付

公開買付をするのであればすべて開示が必要です。

次に、発行会社側の開示について。

①主要株主の異動

議決権比率10%以上の株主(「主要株主」)の異動および主要株主である筆頭株主の異動が生じた場合、開示が必要です。名義書換請求の有無にかかわらず、かかる異動が確実と見込まれた時点または異動を確認した時点で直ちに開示を行う必要があります。

②親会社およびその会社の異動

すべて開示が必要です。名義書換請求の有無にかかわらず、異動が確実と見込まれた時点または異動を確認した時点で直ちに開示する必要があります。

③資本提携を伴う業務提携

取得される株式数が発行会社の発行済み株式5%を超えるような資本提携を伴う業務提携契約を締結することを取締役会で決議した場合、開示が必要です(資本提携を伴う業務提携)。

④公募による新株発行

発行価格の総額が1億円以上の場合、開示が必要です。

⑤自己株式の処分

処分価額が1億円以上の場合、開示が必要です。

最後に、譲渡会社側の開示について。

①子会社の売却

(ⅰ)子会社(発行会社のことです)の資本金の額が譲渡会社の資本金の額の10%以上

(ⅱ)発行会社との仕入または売上取引高が譲渡会社の純資産額の10%以上

(ⅲ)発行会社の前期末における総資産額が譲渡会社の前期末における純資産額の30%以上

(ⅳ)発行会社の売上高が譲渡会社の売上高の10%以上

(ⅴ)発行会社の経常利益または当期純利益が譲渡会社の経常利益または当期純利益の30%以上(譲渡会社の経常利益または当期純利益が10億円以上の場合)

(ⅵ)発行会社の経常利益または当期純利益が譲渡会社の直近5期の経常利益または当期純利益の平均(赤字は0)の30%以上、である場合、子会社の売却に当たれば開示が必要です。

②株式の売出し

売出し価額の総額が1億円以上の場合に開示が必要です。

なお、以上の開示事由が子会社で発生した場合には、子会社における決定事実・発生事実として、親会社で開示が必要になる場合があります。

また、業績予想の修正、配当予想の修正が必要になることもあるでしょう。

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