職務活動の成果の法理(Work-product doctrine)
弁護士・依頼者の秘匿特権と似ているものにwork-product doctrine (職務活動の成果の法理)というのがあり、work productに該当する場合には証拠開示手続で開示することを拒否できます。
弁護士が自分の法的意見や分析を相手方当事者に開示しなければならないとすると充分な弁護活動ができないから、というのが、この法理が認められる元々の理由です。
民事手続でも刑事手続でも認められます。
Work-productの法理により開示を拒むためには、
①訴訟を予期して作成された、
②文書その他の有形物であること、
です。
しかし、この法理は秘匿特権とは違って絶対的なものではなく、相手方にとって当該文書が相当程度に必要で、相手方が不相当な困難を伴わない限り同等の情報を得ることができない場合には、裁判所は開示を命じることができます。
この法理は、元々は弁護士が作成した文書等が対象でしたが、現在では企業が依頼した調査士や環境コンサルタントが作成した文書も対象となり得ると考えられています。
ただし、弁護士でない者が作成した場合には、「訴訟を予期して」作成されたのではないと判断される可能性もあります。
Attorney-client privilegeとWork-product doctrineは同時に主張されることも多いです。一般的にはWork-productのほうが適用範囲は広いが絶対的な保護ではないし、Work-productとしては保護されないけど秘匿特権としては保護されることもあり得るからです。
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