立入調査の際に質問を受けたら答える義務があるか。
カルテルや談合をした場合には立入調査が行われるのが通常ですが、その立入調査の際に公取委の職員から質問を受けることがあります。書類の内容の説明を求められることもあれば、事件の中身について聞かれることもあるでしょう。
この質問には答える義務があるのでしょうか。
独禁法47条1項1号では、公取委は被疑会社の従業員に出頭を命じて審尋(尋問のこと)したり報告を命じたりすることができることになっています。
これらを出頭命令、報告命令と呼びますが、これらの命令に違反すると刑罰の対象となります。
しかし、出頭命令や報告命令を出すには一定の手続が必要です。
すなわち、「公正取引委員会の審査に関する規則」(通称「審査規則」)の9条によると、これらの命令を出すには命令書(書面)を送達しなければならないことになっています(単に書面があればよいと言うのではなく「送達」を要することにも注意)。
そして、立入調査の際には出頭命令書や報告命令書を公取職員が持参することはまずないと思われます。
つまり、立入調査のときにされる質問は、あくまで任意の事情聴取です。したがって法的な強制力はなく、これを断っても罰則はありません。
ただし、多くの会社では調査には協力するという方針を採ると思われますし、いろいろな意味で、任意に協力するのが妥当であるとは言えます。
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