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2009年12月19日 (土)

共同申請の要件を満たさない減免申請は単独申請として有効か

平成21年改正で課徴金減免(リーニエンシー)申請がグループ単位でできるようになりました。

では、グループ申請の要件を満たすと思ってグループ申請したところ、後で要件を満たさないことが分かった場合、当該グループ申請の効力はどうなるのでしょうか。減免申請としてはまったく無効なのでしょうか、それとも単独申請として有効になる余地があるのでしょうか。

まず7条の2第13項の文言からこの問題を考えてみましょう(独禁法も法律です。何はともあれ条文です)。

13項の構造は、一般的な法律の条文と同じく、「要件→効果」となっています。

「要件」は(若干端折りますと)、

①2以上の違反者が共同で減免申請したこと、

②減免申請時に申請者間にグループ関係があること、

③申請者が共同して違反行為をした期間グループ関係にあるか(共同違反型)、または、申請者間で違反行為をしていた事業の承継がなされたこと(違反承継型)、

です(①かつ②かつ③、です)。

これに対して「効果」は、

共同申請が「単独で」なされたものとみなされる、

②事業者数の計算において当該共同申請者は1社とみなされる、

です(①および②です)。

まず効果から見ていきましょう(私は学生時代に元東大民法教授の星野英一先生の「民法概論」に感銘を受けて依頼、常に要件よりも先に効果を検討するようにしています)。

注目すべきは効果①(単独みなし)です。

13項を除き、リーニエンシーの申請はいずれも「単独で」することが一般的に要件とされています。

ということは、共同申請の要件①②③を満たさないと、効果①(単独みなし)が生じないので、共同でなされた申請はリニエンシーの申請の一般的要件の一つである「単独で」を満たさないこととなり、結局、リニエンシーの申請としては無効と考えるほかない、ということになります。

ここで悩ましいのは、要件③を満たすかどうかはっきりしない場合です。

とくに共同違反型(なお、この呼び名は私が勝手に付けたものです)の場合には、違反の全期間についてグループ関係にあったことが必要です。つまり、グループ関係になる前から共同で違反していた場合には、グループ関係になる前の違反について課徴金減免の効力が認められないだけでなく、グループ関係にあった期間の違反についても減免の効力がまったく認められない、ということです。

ですので、いつからカルテルが始まったかはっきりしない場合には、単独申請にしておいたほうが安全、ということになります(申請から遡って5年以上前のグループ関係を問わないというのは、このようなジレンマを部分的に解消するものということができます)。

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