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2009年9月22日 (火)

排除型私的独占の課徴金算定の基礎の売上高

平成21年改正で、排除型私的独占に課徴金が課されるようになりました。

しかし、不当な取引制限の課徴金と異なり、そこには不当利得の剥奪という性格は希薄で、むしろ懲罰的であるとすら言えそうです。

つまり、不当な取引制限の場合は、カルテルをした場合に上昇する価格を参考に課徴金算定率が決められ、カルテル対象の売り上げに課徴金が課されます。

これに対して私的独占の場合には、①違反行為の行われた取引分野における違反行為者の売上高と、②当該取引分野において違反行為の対象となった商品等を供給する他の事業者に対して違反行為者が供給した違反行為に係る商品等、を合算した売上高に、課徴金が課されます。

しかし、私的独占の場合、このような対象売上は違反行為者の不当利得とは何の関係もありません。

むしろ、それまで違反者が違反行為なしに市場支配力を獲得していたとすると、違反者の売上が大きいのは、適法な競争の結果であると言えます。

それにもかかわらず、そのような適法に獲得した市場支配力の結果大きくなった売上高に課徴金を課すというのは、適法な競争に勝ち抜いた果実に対して課徴金を課するということです。

これはつまり、私的独占に対する課徴金は、不当利得の剥奪とは何の関係もなく、むしろ大きいこと自体で処罰を受ける、ということです。

また課徴金算定率が6%というのも、寡占企業の売上利益率を参考にしたということですが、ここでも、不当利得の剥奪という発想はありません(普通の寡占企業はむしろ適法な競争により市場支配力を獲得しているはずですから)。

排除型私的独占の課徴金の性質がこのようなものである事の是非はさておき、大きな企業ほど大きな課徴金を受ける、ということは認識しておく必要がありそうです。

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