不公正な取引方法の定義(公正競争阻害性)
2009年独禁法改正で不公正な取引方法の一部が、一般指定から法律に格上げされ(新法2条9項1号~5号)、課徴金の対象とされました。
ところで、旧法2条9項(不公正な取引方法の定義。新法では2条9項6号に相当)では、不公正な取引方法が成立するためには公正な競争を阻害するおそれがあることが、定義自体に明示されていました。
ところが、今回法律に格上げされた不公正な取引方法(1号~5号)では、その定義に「公正な競争を阻害するおそれ」(公正競争阻害性)が明示されていません(6号には明示されています)。
これを文字通り読めば、法律に格上げされた不公正な取引方法が成立するためには、公正競争阻害性が不要、ということになりそうです。例えば、再販売価格維持(新法2条9項4号イ)は、検討対象市場の商品の価格等が維持されるおそれがなくても違法ということになりそうです。
しかし、これは明らかにおかしいので、法律に格上げされた不公正な取引方法についても、解釈上、公正競争阻害性を要すると考えるのだと思います。
「2009年独禁法改正」カテゴリの記事
- 7条の2第8項2号と3号ロの棲み分け(2015.05.02)
- 主導的役割に対する割増課徴金(2015.05.01)
- 海外当局に提供する情報の刑事手続での利用制限(43条の2第3項)(2012.11.19)
- 課徴金対象の差別対価(2012.02.20)
- 優越的地位濫用への課徴金と継続性の要件(2011.10.27)
コメント