除斥期間の経過措置
2009年の改正で排除措置命令と課徴金納付命令の除斥期間が3年から5年に延長されました。除斥期間についての経過措置は附則3条(排除措置命令)および4条(課徴金納付命令)にあります。
課徴金納付命令の方が排除措置命令よりも命令を受ける側にとっては重要と思いますので課徴金納付命令のほうで説明しますと、附則4条では、
「この法律施行の際その実行期間・・・の終了した日から3年を経過している旧独占禁止法7条の2第1項〔不当な取引制限〕・・・に規定する違反行為については、新独占禁止法第7条の2第27項の規定にかかわらず、課徴金の納付を命ずることができない。」
とされています。
そこで施行日が2010年1月1日とすると、例えばカルテルを2006年10月31日に止めている場合には、2010年1月1日の時点で実行期間の終了日から3年以上経過しているので、課徴金納付命令は課せられないことになります。
これに対して例えばカルテルを止めたのが2007年3月31日の場合には、2010年1月1日の時点で実行期間の終了日からまだ3年経過していませんので、新法の5年の除斥期間が適用されることになります。つまり、除斥期間が満了するのはカルテルの終了から3年が経過した2010年3月31日ではなく、5年が経過した2012年3月31日となります。
このように、旧法下でなされた違反行為であっても、新法施行の時点で除斥期間が満了していない場合には、新法上の5年の除斥期間が適用されるので注意が必要です。
« 株式取得の経過措置 | トップページ | 排除型私的独占ガイドライン(不公正な取引方法との限界) »
「2009年独禁法改正」カテゴリの記事
- 7条の2第8項2号と3号ロの棲み分け(2015.05.02)
- 主導的役割に対する割増課徴金(2015.05.01)
- 海外当局に提供する情報の刑事手続での利用制限(43条の2第3項)(2012.11.19)
- 課徴金対象の差別対価(2012.02.20)
- 優越的地位濫用への課徴金と継続性の要件(2011.10.27)
コメント