株式取得の経過措置
株式取得については今回の改正により事前届出化されましたが、経過措置が附則10条にあります。
附則10条では、
「新独占禁止法第10条2項〔株式取得の届出〕及び第8項〔待機期間〕の規定は、施行日から起算して30日を経過した日以後に行う株式の取得について適用し、同日前に行う株式の取得又は所有については、なお従前の例による。」
とされています。
公取の記者会見によると施行日は来年の1月1日を目指すとのことなので、仮に施行日が来年1月1日だとすると、「施行日から起算して30日を経過した日」というのは平成22年1月30日を経過した日(期間が午前0時から始まるので初日(1月1日)が算入されます。民法140条但し書き)を意味するので、結局、平成22年1月31日以後(同日を含む)に行う株式取得については新法が適用され、事前届出をすることになります。
反対に、平成22年1月30日まで(同日を含む)に行われた株式取得については旧法が適用され、事後報告で足りることになります。
なお、この経過規定は「株式の取得」がいつであったかによって旧法・新法の適用を分けており、「株式の取得」というのは株式の所有権の取得のことであると解されています。代金の支払いや名義書換の有無とは関係が無く、株式譲渡契約の締結日とも関係がありません。
したがって、例えば今年中に株式譲渡契約を締結していても、株式の移転の日が来年2月に設定されているような場合には、新法が適用されて事前届出が必要になりますので注意が必要です。
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